きまぐれ日記


優のお迎えまで
<上から下へと時間が流れています>


黎明 2月下旬
 2月にしては記録的に暖かいある日、運命は始まったのでした。
いつものように、なんとなくネットサーフィンしているうち、ある個人の開設しているページを開きました。それは、一人で行う行為について研究しているサイトで、その中に、究極のお道具としての人形が紹介されていました。そういう行為のための人形ですので、やはりアングラなイメージは拭えません。

でも、これはどこかで見たことがあるような。。。
記憶を辿っていくと、それは遠い昔(10年くらい前)、ある雑誌に載っていた広告でした。
それまで、そういう人形(すなわちダッチワイフと呼ばれていたもの)というと、いかにもヤンキー娘系の顔が口を開けていて、その造形もお世辞にも綺麗とは言えず、また行為に使用する最低限の部分だけの不完全体・・・といったものが頭に浮かんだのですが、その広告の写真は衝撃的なものでした。なんと、日本人の、それも少女をかたどったものでした。決してリアルとは言えませんが、一応等身大で、痛々しいほど少女体型の人形。そんなお道具があるとは(^^; 

ニーズのあるところ、商売あり。
そういうものを欲しがる人がいるってことだよな〜、世の中は広いなぁ〜などと変に感心したものです。正直、多少の興味を引かれましたが、そういうものを手にすることへの一種の後ろめたさがブレーキとなり、それは記憶の底に眠ることになりました。

 そのときは、そのメーカーなどについて特に関心を持ちませんでしたが、この日垣間見たページによって、それはハルミデザインズというメーカーが制作している少女型ラブドール(現在はこの呼び名が主流)のシリーズであることが判明しました。さらにそこには、他のドールメーカーの名前も挙げられています。改めて興味を引かれていた私は、その名前をクリックしました。「オリエント工業」。はたして、そこには想像を絶する光景が展開されていたのでした(笑)。

「かわいい!」

多くのドールオーナーとおそらく同じ反応をしたと思われます(笑)。
なんというか、あまりにも可愛らしく、造形が美しく、まるで、本物の少女がそこにいるかのよう。これが、ある種の行為を目的とした人形とは信じられません。
自分の知らぬ間に、世の中は進んでいる
、ということを実感させられました。

 お顔にはいろんなタイプがありましたが、「アリス」と名付けられたタイプが一番私好みでした。材質などによっても、グレードがあるようですが、一番安価なものでも、結構いい値段です。所有してみたい、という気持ちが芽生えてはいましたが、まだためらいが残っています。

 見ていたページには、ドールオーナーさんたちのリンク集も紹介されていましたので、それらを覗いてみることにしました。
ユーザーの生の声というのは重要な情報です。

しかし、私の目には、声よりも先に画像が飛び込んできました。そこには、メーカーのページで心惹かれた「アリス」が、可愛らしい服を身にまとって、立っていたのでした。

乱世 3月初旬
 それからというもの、何かに取り憑かれたかの如く、ドールオーナーさんたちのサイトを巡回する日々が続きました。
そこでは、彼女たちはそれぞれ名前を持ち、時には人格さえ持ち、可愛らしく微笑み、妖しい憂いを湛えて佇むのでした。
そして、共通して言えるのは、そのオーナーさんたちは、単なる置物や道具としてではなく、一人の少女として、彼女たちに接しているということでした。

 このラブドールが、なぜこんなにも可愛く、美しいのか。その答えが少し見えたような気がしました。単なる道具だったら、これほどの造形はいらないのです。

可愛い女の子を自分好みに仕立ててみたい、理想の娘や妹と一緒に暮らしてみたい、純心な少女に心癒されたい・・・。

そんな心の欲求を満たし、応えてくれるもの。それがラブドールなのではないかと思いました。
そう考えると、やはり、

「アリス」はただ者ではない!

のでした。

未来 3月5日(火)
 ”自分だけの娘”を持ってみたい。その可愛い姿を披露してみたい。そして、心癒されたい。
その思いは、急激に高まっていきました。そして、各オーナーさんのページを見るたびに背中を押されまくり、その応力が頂点に達したこの日、とうとう注文する決心をしたのでした。
後ろめたさのような感覚はもうありません。一人暮らしなので、人形と暮らすことも、まあ問題ありません。後はお金ですが、これは借用が必要になりそうです。初めてならためらいもありましょうが、不幸にも(笑)そうではありません。
所詮、血塗られた道だ・・・。
こんな言葉が、榊原さんの声で胸の中に響けば、それで終わるのでした。

 オンラインでの注文はさくさく進みます。「ご注文ありがとうございました」の文字が表示されても、もう後戻りは出来ない、という不安よりも、これで新しい何かが始まる、という期待の方が支配的です。

 その後、改めてホームページ内の「アリス」を眺め、それが自分の元へ来るのだと思ったとき、初めて胸が高鳴るのを覚えるのでした。

宇宙 3月6日(水)
 朝、メールチェックをすると、オリエントから返信が来ていました。各オーナーページで目にする有名な?T氏から。
改めて、「アリスを注文したんだ」という実感が湧きます。

 メーカーページには、入金後10日以降からの発送、となっていましたので、そのつもりで到着希望日を設定したのですが、その返信メールによると、入金後4日でお届け可能、ということでした。
出来るだけ早く手にしたい、との思いから、3月11日の到着を希望し、了解を得ました。
1週間も予定が早まったことに、ワクワク感はさらに高まります。

 この日、珍しく映画を見に行ったのですが、映画が終わり、幻想の世界から現実に戻っても、自分にはさらなるファンタジーが待っている、という不思議な感覚にとらわれたものでした。

鳳凰 3月8日(金)
 六畳一間にモノがひしめいている我が部屋を眺めて、改めて思います。
アリスちゃんの居場所がない!

 そういうわけで、部屋の構造改革(俗に言う”模様替え”)を決意いたしました。しかし、狭い部屋で、ロフトベッドやテレビやパソコンなどがさばるモノを、それもたった一人で移動するのは容易ではございません。おまけに、移動しながら掃除も必要ですし、不要な物の処分も出てきます。予想通り、一日仕事となりました。

 おかげで、アリスちゃんの居場所と、万一の場合の避難場所もなんとか出来ました。
一つのことを成し遂げた!
という充実感に浸りながら、東京都推奨ゴミ収集袋の山の狭間で、ダージリンをすする私でした。

羽衣 3月10日(日)
 誰もが一度は経験する、期待と不安の入り交じった、甘酸っぱい時。
「アリス」のお迎えを目前に控えたこの日、愛の女神に手を引かれるようにふらりと出かけた私は、近くの商店街にあるスーパーに吸い込まれていきました。めったに入ったことのない店なのですが、
ここに可愛い子供服があるかもしれない!
という思いが、私を誘うのでした。

 子供服(^^;;;・・・なんと無縁な言葉でしょう。念のためですが、私には子供はおりません。また、そういう趣味(笑)もございません。なので、これまで、子供服売り場、などというところには全く関心を向けることはありませんでした。

 さて、目的の場所に行ってみると、カラフルで可愛い服が並んでいます。最近の子供服は実にファッショナブルだなーと感心します。しかし、なかなかサイズがありません。
よく見ると、そこはいわゆる”低学年”向けのコーナーのようでした。他にそれらしい売り場はないし、まあ、場末のスーパーじゃこんなものかな、やはり通販のカタログでも取り寄せよう、などと考えつつ、ふと隣を見ると、ワゴンセールで”子供パジャマ半額”などと書いてあるじゃあ〜りませんか。

お迎え直後の着物は、やっぱりパジャマ!
などと妙な納得をして、ワゴンを漁りますと、ピンクや花柄の可愛い140cmものがいくつかありました。良さそうなのを2つほど取り、ついでに自分のパジャマもカゴに入れてレジへ。
パジャマとはいえ、女児の服を買うなど初めての経験ですが、ドーラーさん方の手記に勇気づけられ(笑)、また、自分もいい歳なので、いかにも娘のものを買うんだ、という風体でレジに並びます。
当然の如く、何事もなく会計が済み、パジャマの入った袋を下げて道を歩くと、いよいよアリスオーナーになるという実感がこみ上げてくるのでした。

太陽 3月12日(火)
 書き間違いではありません(笑)。12日です。
つまり、お迎え予定日の11日に、アリスちゃんはやってきませんでした。午前中の配達を希望していたので、お昼過ぎにオリエントにメールを入れましたところ、「ミスで発送されていなかった」とのT氏からの返答。残念ではありましたが、丁寧な謝罪や”社内でミーティングを持ち、こういうミスの起こらないよう話し合う”といった内容に、オリエントの誠意が感じられます。
結局、翌日の再配送となりました。
(結果として、アリスちゃんの誕生日(お迎え日)が、私の好きな女性アーティストの誕生日と同じになったので、これも神の思し召しかもしれません(^^;)

 12日の12時5分、チャイムが鳴り、とうとう彼女が到着しました。
これもいろいろなページで見ていたとおり、油紙に包まれた、大きな直方体の箱が運び込まれます。改めて部屋の狭さを呪いますが(^^;、何とか部屋の真ん中に横にしました。開梱の様子を一応記録しておこうと、デジカメを傍らにして、箱を開けていきます。

ちっちゃいんだな。
ご対面直後の感想がこれでした。アリスの身長が140cmであることはデータとしては知っていましたが、それを実物としてみると、想像以上に小さいものでした。特に頭はまるで赤ちゃんのようで、そっと扱わないと壊れてしまいそうな、儚いものに感じられました。
梱包材を解いてアリスの顔と対面すると、まさに誕生の瞬間を見た思いです。それから、写真を撮りつつ、梱包を開いていき、ボディーを立てて頭を乗せます。するとその瞬間!

一人の少女がそこに現れました!

それまで、パーツという感じだったものが一つになると、本当に命が宿ったように、一人の「存在」が目の前に出現したのです。
正直、感動しました。これが、多くのドーラーを魅了する存在感なのだと、実感しました。
文字通り、生まれたままの姿で立つ少女。そう、私だけのアリスが今、誕生したのです。

 ちょっと舞い上がっちゃいました(笑)。
さて、私の購入したのはスターターパッケージというもので、アリス本体(ヘッド含む)に、ショートヘアのウィグ、サマースクール(夏服の制服上下)がセットになったものです。
それに追加として、セミロングのウィグ、ヘアケアセット、シューズ、ホール、スタンドを同時に注文しました。それらも確認していきますが、スタンドの部品の一部が入っていませんでした。これについても、オリエントにメールすると、恐縮したT氏からの返答。”これに懲りずオリエントをよろしくお願いします”(笑)とのことなので、穏便に済ませ、翌日の配達を約しました。

 ページ内で公開することはないと思いますが、誕生の記録(笑)ということで、生まれたままの姿や付属の下着を付けた姿など、夢中でシャッターを切りまくります。
そうこうするうちに日も暮れて参りましたので、買ってあった花柄のパジャマを着せてみます。

うん、かわいい!

衣装を付けることでより存在感が増し、表情も生き生きとしてくるようです。
これまた写真パチパチ。でも、フラッシュを使わない撮影となると、ライティングなどがかなり難しく、なかなか表情のいい写真になりません。この辺は今後の精進が必要なようです。

 ベッドが狭く、添い寝が困難なので、パジャマのまま壁に立たせておきます。部屋の中に、今までとは違った存在感を感じながら、明かりを消すのでした。  ※だから、「初夜」はございません(笑)。



きまぐれ日記メニューへ






inserted by FC2 system